IBM® WebFacing ツールは、WebFacing アプリケーションのアクセシビリティーを提供します。これにより、特殊な要件を持つユーザーへの障害が取り除かれ、アプリケーションにアクセスしやすくなります。
WebFacing ツール固有の特徴として、元の 5250 ホスト・アプリケーションを自動的に Web アプリケーションに変換するという点があるため、 その結果として得られる Web アプリケーションのアクセシビリティーは、 変換時の DDS で入手できる情報によって制限されます。残念ながら、通常、この情報では不十分であり、 アプリケーションのアクセシビリティーをさらに改善するために、 変換後に WebFacing 開発者が追加変更を加える必要があります。この文書では、 開発者がアプリケーションのアクセシビリティーを改善するために調査し、場合によっては変更が必要になる さまざまな領域について説明します。
スクリーン・リーダーなどの支援技術 (AT) を使用してアプリケーションにアクセスする視覚障害のあるユーザーは、 イメージやグラフィックスとその意味を関連付けた代替テキストを必要とします。WebFacing の「イメージ」Web 設定に「代替テキスト」フィールドが追加され、 簡単に代替テキストを指定できるようになりました。
適切な代替テキストの指定方法に関するガイドラインについては、 下記の関連情報を参照してください。
内容をナビゲート、解釈、および配信する支援技術においては、 意図された意味をアプリケーションのマークアップが正しく伝えることが重要になります。 構造化マークアップ (プレゼンテーション・マークアップではなく) を使用すると、 視覚的なブラウザーを使用しないユーザー向けの意味構造が維持されます。
例えば、 HTML では、見出しの識別用にエレメント <h1> から <h5> を提供しています。 しかし、同等の DDS 構造がないため、WebFacing 変換では、どのフィールドまたは定数が見出しかを認識できません。
視覚障害のないユーザーが画面を見たとき、「Parts Order Entry」のような見出しは、見出しであることが多くの場合明確に分かります。しかし、スクリーン・リーダーを使用するユーザーなどの場合は、 テキストを読み上げただけでは見出しであることを認識できません。
この問題は、 WebFacing 変換エンジンでも同様に起こります。しかし、以下のように「HTML オーバーライド」 Web 設定を使用して、フィールドの周囲に見出しタグを挿入することができます。
同様の技法を使用して、 特に、リスト、テーブル見出し、および引用への変更を行うことで、アクセシビリティーを強化できます。Web アプリケーションの構造化マークアップへの変更について詳しくは、 関連資料の該当セクションを参照してください。
支援技術が形式フィールドを検出したときに、 ユーザーがその意味を理解できるようなコンテキストと説明を入手できることが重要になります。 これを行うために推奨される方法は、<label> エレメントを使用して、 各フィールドと説明テキストを関連付けることです。元の 5250 アプリケーションには、フィールドとそのラベルをプログラマチックに関連付けるメカニズムはありません。 通常、各フィールドを相互の関連でどのように配置するかといった場合に 使用可能なキューは視覚的なものだけです。
このため、 WebFacing 変換エンジンは、生成した Web アプリケーションでこのような意味の関連を 自動的に作成することができません。アクセシビリティーへの変更は、 WebFacing 開発者がデプロイメント前に行う必要があります。
形式フィールドのラベルとして テキスト・ストリングを定義するには、<label> HTML エレメントを使用します。使用される汎用構文は次のとおりです。
<form [...] >
<label for="inputID" [...] >description</label>
<input id="inputID" [...] />
</form>
上記のアプリケーションでは、 右側にある入力フィールドのラベルとして「顧客番号」を指定すると仮定しています。
<label for="&{FMT01.CUSTNO.ID}">
WebFacing バージョン 7.5 では、サポートされるサーバーでの実行時に、 ジョブで使用される言語を動的に照会して使用するような変更が加えられています。これにはジョブを開始する必要がありますが、 アプリケーションの索引ページまたはログオン・ページで起動するまでは言語情報を入手できないため、 デフォルトの言語は英語に設定されます。
<HTML lang="en">
logon.jsp ページにも同じ技法を使用できます。
データの表示にテーブルを使用すると、見出しと、行または列との関係が 非常に複雑になることがあり、支援技術を使って 理解しやすいコンテンツを配信することは困難になります。 WebFacing 開発者がテーブルのアクセシビリティーを改善するためにアプリケーションに加えられる変更を、 以下に示します。
データの編成が分からない場合、 データ・テーブルの意味を理解することが非常に難しくなります。 行と列の見出しの識別にマークアップを使用すると、 支援技術はさらに簡単に理解しやすい方法でコンテンツを配信できます。
テーブルのセルを 列または行の見出しとして識別するには、テーブル見出しタグ <TH> を scope 属性と組み合わせて使用します。
次に、 サブファイルにこのような変更を行う方法の例を示します。
セルのマークアップを <TD> から <TH> に変更すると、 既に適用されているスタイルによっては、テキストが太字体で中央揃えになっている場合があります。 変更をテストすることで、さらに変更が必要かどうかを素早く確認できます。
スクリーン・リーダーを使用してエラー・メッセージにアクセスするために、 見出しにショートカット・キーを使用できます。ページ全体を再度読み上げると、 エラー・メッセージも読み上げられます。
ウィンドウを表示する際に支援技術によって読み上げるには、 WINDOW レコードに適切な表題テキストを使用した WDWTITLE キーワードを指定する必要があります。
Web アクセシビリティーに関する考慮事項の詳細なリストについては、 下記の関連リンクを参照してください。